一般的にネットショップの運営において決済手段は多ければ多いほど良いとされています。購入者によっては選択できない決済手段があるので、決済手段が理由で販売機会を失う可能性があるからです。しかし、小規模ネットショップの場合には、決済手段は3つで良いと思います。その理由とは・・・
小規模ネットショップの決済手段が3つで良い理由
小規模ネットショップの決済手段が3つ良い理由を書く前に、どの3つかということを先に書いておきます。「クレジット決済」「後払い決済」「銀行振り込み」の3つです。
ネットショップの決済手段としては、上記の3つ以外に「代金引換」「コンビニ払い」「ネット銀行決済」「電子マネー決済」などがあります。最近では、「楽天pay」や「Amazon pay」などもあります。
決済手段を増やすことは難しくありません。例えば、「GMO イピシロン」などを利用すれば、上記のすべての決済を利用できるようになります。しかし、決済手段を増やせばよいというわけではありません。その理由を書いていきます。
各決済には月額最低手数料が発生する
一番大きな理由としては各決済手段には月額最低手数料が発生します。決済手段には手数料が発生します。決済手段や契約によりますが、支払代金の3~6%ぐらいが手数料として発生します。その手数料が少ない場合に最低発生する手数料というものがあります。
例えば、上記で紹介した「GMOイプシロン」の場合、クレジット決済には、4~5%の手数料が発生します。そして月額最低手数料が、「VISA/MASTER/DINERS」で2,500円、「JCB/AMEX」で1,000円の合計3,500円発生します。わかりやすく決済手数料が5%として例をあげてみます。
売上10,000円の場合
決済手数料が500円となります。これでは、3,500円に満たないため、支払う手数料として3,500円発生します。つまり、10,000円の売上でも手元に入るのは6,500円となります。
売上100,000円の場合
決済手数料が5,000円となります。これは、3,500円を超えていますので、支払う手数料は5,000円となります。
売上が70,000円で決済手数料と月額最低手数料が同額の3,500円となります。つまり、70,000円以上の売上がなければ、5%以上の手数料が発生するということになります。
もし、「GMOイプシロン」ですべての決済を導入した場合には、月額最低手数料が15,000円を超えてきます。つまり、決済手段が多いということはそれだけ手数料が増えるということです。
先払い型の支払い方法を使う方が不要なトラブルを避けることができる
最近は、飲食店の無断キャンセルが話題ですが、ネットショップでも同様のトラブルはあります。お金を先にもらっておくことでトラブルが減ります。小規模なネットショップは当然のことながら人手が足りません。ネットショップが本業で無い場合もあると思います。そういった場合には、とにかくトラブルを減らすことが重要です。そのためにも先払い方式を徹底することが重要です。
「後払い」決済は、現実的には先払いではないのですが、決済会社が審査後に商品を発送する形になり、購入者が支払いをしなくても決済会社がネットショップに対しては支払いをしてくれるのでショップ側としては先払いと同じ形になります。
では、どのようなトラブルを避けることができるかというと。
代金引換での受取拒否
ネットショップの支払いに関するトラブルで一番大きいものが代金引換の受取拒否です。代金引換の受取拒否をされることの被害は大きく、小規模なネットショップの方が金銭的にも精神的にもダメージが大きいです。(精神的というのは小規模な場合には、運営者=オーナーですので、すべての負担をダイレクトに感じるからです。言い方は悪いですが、大手の場合にはサラリーマンですのでオーナーとはやはりダメージが違うと思います。)
そのあたりは詳しくは下記の記事に書いています。
支払いを待つコンビニ払いなどは商品の取り置きなどの問題が発生する
コンビニ払いの場合には、注文時点では支払いを終えていません。注文後に購入者がコンビニで支払うまで待たないといけません。いつ支払いをしてくれるのかわかりませんし、支払いをせずに期限がすぎてキャンセルとなる場合もあります。注文があったので、商品を取り置きしていたけど、キャンセルになれば、在庫を元に戻したりしないといけませんので、結構な手間です。
同様の問題は、「銀行振り込み」でも発生します。ただ、「クレジット決済」と「後払い」を利用できない人のための手段が必要なため、「銀行振り込み」だけは残しておいた方が良いと思います。(実際にはほとんど注文が来ないです。)
いたずら注文やなりすまし注文が無くなる
確率は低いですが、いたずら注文やなりすまし注文が無くなります。支払いを終えないと注文ができないので当然のことです。
注文後の処理が決済手段ごとに異なるため、オペレーションが大変になる
3つ目の理由は運用オペレーションの問題です。
決済手段によって、注文後の処理は変わってきます。「クレジット決済」の場合には、すぐに発送をしても構いませんが、「後払い」の場合には、決済承認の結果を確認しないといけません。「コンビニ払い」は支払を待つ必要、「代金引換」はコレクト伝票を使わないといけないなど、決済手段によってオペレーションが異なってきます。
注文が多くなり、様々な決済が均等に使われる状況になれば、運用オペレーションを手順化しやすいですが、月に数回しか使われない決済手段の場合には、どうすればよいのかを思い出したりしながら作業をしないといけなくなります。結果的にミスも発生するようになってしまいます。
最大の理由は、「クレジット払い」と「後払い」でほとんどのお客さまが購入するから
そして、最大の理由は、ほとんどのお客さまが「クレジット払い」と「後払い」で決済するからということがあります。かつては、「商品代金引換」が多かったですが、「商品代金引換」の利用者は減少傾向にあります。おそらくその理由として、「宅配BOXなどを活用するには商品代金引換では無理だから(商品代金引換の場合には家にいないといけないから)」ということと、代替手段としての「後払い」が浸透してきたからだと思います。
実際に、私が運用している下記サイトで決済手段を増やしたり、減らしたりして実験をしてみましたが、小規模かつ特殊な商材のため、売上もしれているので、すでに書いた月額最低手数料を支払うほど売上が増えることはありませんでした。
「商品代金引換」はこちらの事情で発送が遅れるという形を取りつつ、提供はしていますが、100件以上の注文で「商品代金引換」は1回しかありませんでした。
決済手段を増やさずに売上をあげるための2つのポイント
さらに決済手段に関わらず売上をあげるための2つのポイントをあげておきます。
後払いの支払い方法が多岐に渡ることを伝わりやすくする
1つ目はシンプルなことですが、後払いの支払い方法が多岐に渡ることを伝わりやすくすることです。「後払い」は便利なもので、「コンビニ」「銀行」「郵便局」などで支払えます。つまり、「コンビニ払い」と「銀行振り込み」を兼ねているということです。
決済手段の表記を「後払い」とするのではなく「後払い(コンビニ・銀行・郵便局)」とするだけで「コンビニ払い」と「銀行振り込み」を希望する人も「後払い」を選んでくれるようになります。
決済手段に関係なく購入してもらえるネットショップにする
最後が一番大事なことで、一番難しいことですが、決済手段に関係なく購入してもらえるネットショップにするということです。
一番良い形は、「ここでしか購入できない」という理由が作れればベストです。
余談ですが、決済手段が「銀行振り込み」のみはダメです。詐欺サイトと思われる可能性があります。
最後に余談となりますが、決済手段が「銀行振り込み」のみにすると手数料などが発生しないので良いと思われるかもしれませんが、結論から言うとだめです。
特に他でも販売している商品を安く売っている場合には詐欺サイトと思われる可能性がありますので注意してください。(1品物のオーダー商品を提供するようなネットショップであれば銀行振り込みのみというのもありかと思います。)